日本の財政悪化の主因である社会保障費の増加は、高齢化に加えて、新型コロナウイルス感染症の流行でさらなる加速を続けている。国民皆保険制度の上に成り立つ医療に従事する我々としては無視することができない深刻な課題であるが、海外の大学発ベンチャーにシェアを奪われる新薬・新医療機器に歯止めがかからない。医薬品・医療機器の貿易赤字は年間3兆円を突破しており、次世代の経済成長を担うイノベーション企業の創出が大学の急務となっている。
そんな中、我が国の次世代のイノベーションを担うベンチャー協議会の若手企業3社が大型公的資金を獲得した。
中島大輔君(整87回)が代表を務める株式会社グレースイメージングは東京都令和2年度次世代イノベーション創出プロジェクト2020(採択結果)、先端医療機器アクセラレーションプロジェクト(AMDAP)に採択され、今後、最大6億円を得て汗中乳酸測定ウェアラブルデバイスの開発を推進予定である。
八木洋君(外77回)が代表を務めるMatriSurge株式会社も同じく、東京都令和2年度次世代イノベーション創出プロジェクト2020(採択結果)、過去には先端医療機器アクセラレーションプロジェクト(AMDAP)にも採択されており、脱細胞化臓器骨格を用いた再生医療の実現を推進していく。
堅田侑作君(眼89回)が代表を務める株式会社レストアビジョンは、同じく眼科の栗原俊英君(眼80回相当)を代表として、AMED令和3年度 難治性疾患実用化研究事業 再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクトに採択され、今後、視覚再生遺伝子治療の臨床試験の準備を加速している。
支援下さっている各教室には感謝申し上げるとともに、引き続き、社中一丸となって、患者だけでなく日本経済を救うベンチャー企業を育てなくてはならない。
ベンチャー協議会では新会員、そしてエコシステムを支える協賛企業を現在募集している。
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